エビカツサンドは僕の好きな食べ物の一つなのだけれど、そんなに頻繁に食べるものかと言われるとそういうわけでもない。それは文字通りエビカツを挟んだサンドウィッチのことで、コンビニやなんかでも時々見かけることはあるし、君が知らないということはないんじゃないかと思う。
結構好きなわりにはどうしてそんなに頻繁に食べることがないのかって、それは単純な話で、案外稀なヤツなんだよね。あれって。
コンビニとかパン屋さんとか、どこにでも置いていそうなものなのに、探すと案外見つからないんだな。そのくせ探していないときなんかには、至極当然といった佇まいでいるんだよ。気が滅入っちゃうね。
大手ハンバーガーチェーンのメニューに、エビカツバーガーというのがあるけど、それとはまた少し別の話なんだな(一応断っておくと僕はそれも好きだし、事実よく食べる)。
僕にはたまに、どうしようもなくエビカツサンドを食べたいときがあるんだよ。
故にエビカツサンドは不幸。
いえ、あるいは幸せかしら。
ところで、僕がたまにいく近所のサンドウィッチ屋さんがあって、そこはなんとも、清潔感があるとも言えないような、古く、そして極めてささやかなサンドウィッチ屋さんなんだけど、今日はそこでエビカツサンドを買って食べたんだよ(前回来たときには売り切れだったんだ、悲しいことに)。
そのサンドウィッチ屋さんには店主のおじいさんが一人いるだけでね。そのひどく腰の曲がった店主のおじいさん、特に僕ら何の話をしていたというわけでもないのだけど、帰り際、いつもこう言う。
「ほどほどに。」
決まってこう言うんだ。
「頑張ってください、ほどほどに。」
※タイトルは村上春樹さんの随筆「やがて哀しき外国語」のオマージュです(内容はエビカツサンドとは一切関係ありませんが)。
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